「惰性」という言葉を聞いて、どんな印象を抱くでしょうか?
なんとなく怠惰で、ずぼらな印象を受けがちではないでしょうか。
ただ、人間の行動というのは、実は無意識のものが多いのです。
自分で選んでいるつもりで、脳が癖で選んでいるという事が大半。
その証拠に、私なんか、以前買った本を、再び買ってしまったりします。
同じ表紙やタイトルに、同じように反応するのでしょうね。
ぎゃくにいうと、人の行動を牛耳る「惰性(習慣)」の力を味方につけると、これほど強力なことはないのではないでしょうか。
1回やっただけの人と8回繰り返した人
報酬が得られなくなっても行動を続ける
こんな実験があります。
大学生を100人規模で集め、二つのグループに振り分けました。
グループAには、「1カ月に一回以上ジムに通う」という条件をクリアすれば、175ドルの報酬を与えると約束しました。
グループBには、「1か月に8回以上ジムに通う」という条件をクリアすれば、175ドルの報酬を与えると約束しました。
つまり、同じ報酬を得るためには、グループBは、よりたくさんの回数ジムに通わなければならないという条件設定をしました。
ひと月でミッションをクリアした学生たちの一部はその実験が終わってもジムに行くことを続けました。
報酬をもらえなくなってからもジム通いを続ける確率が高かったのは、グループB。
実験終了後の7週間に、グループBはAの約2倍も運動するという結果になったそうです。
繰り返しが習慣化のキモ
この事例を見ていくと、初めは報酬のために運動をしました。
しかし、その後は、ある意味、惰性で運動を続けていると考えられます。
惰性というと、あまりいい印象を受けないかもしれません。
しかし実際のところ、私たちの行動の多くはそういった、「しらずしらず」のパターンで形作られています。
というのも、人間の脳というのは結構な大食い。
思考にはたくさんのエネルギーを使います。
だから、できるだけ行動のほとんどを自動化してしまい、「惰性で」生きるようにコントロールする傾向があるようです。
習慣を味方につける
自分のパターンから抜け出す方法
昔見たアニメ、ルパン三世にこんなエピソードがありました。
天才的な泥棒であるルパンに、ある人物が勝負を挑みます。
その対策は、ルパンの行動パターンをAIで分析し、全ての行動を読み、それらを閉ざすシステムを作りました。簡単に言うと、ルパンが逃げようとする方法を先読みして遮断する要塞です。
そのエピソードでは、ルパンはピンチに陥ります。
何しろすべての行動が先読みされるのですから。
しかし、ある時ルパンは思考を頼らず、「きまぐれ」に行動することにした途端、システムの裏をかくことができ、勝利したという話だったと記憶しています。
実は人の考えることは大部分がパターン化されています。
考えるより先に、脳が反射的に答えを出していることが多い。
そこから抜け出す一つの方法は、新しいパターンを脳に教え込む、という事。
それが「習慣」だと私は考えています。
習慣化は難しい?
そうはいっても、習慣化って難しい。
そんな風に思われるかもしれません。
しかし、私的には、習慣化そのものが難しいというより、新しい習慣を獲得するという変化への無意識な拒絶が習慣化を難しくしている、と考えています。
そんな事を書籍にしたためてみましたので、よろしければご参照賜れば幸いです。
(Amazonの電子書籍 Kindleのみの出版になります。無料アプリをダウンロードの上ご覧ください)