ペンシルベニア大学のアンジェラ・ダックワース心理学教授は、成功を左右するのはIQでも才能でもなく、GRIT(やり抜く力)だ、と主張しています。
では、GRIT(やり抜く力)を育てるには、どうすればよいのでしょうか?
GRIT(やり抜く力)の育て方
やり抜く力が強い人が持つ4つの特徴
ある調査によると、GRIT(やり抜く力)が強い人は、以下の特徴を持っているそうです。
①興味
まず、何かを成し遂げるためには、そこに対して強い興味を持つことが重要です。
研究によると、興味を持って取り組むことで、パフォーマンスが上がることがわかっています。
好きこそものの上手なれ、と言いますが、関心を持って行動することが大事です。
一方で、興味を持てないことについては、目指す先を変更することも検討したほうが良いのかもしれません。
興味関心の対象は、自分の内省から見つかるというより、外界との触れ合いで気づくことも多いので、興味の対象を探したい人は、様々な出会い・刺激をもとめて外に出るのがいいかもしれません。
②練習
なにかをやり遂げようとするに際して、日々の訓練はとても大事になります。
そして、練習をする事で人は成長を実感します。
成長することで、自らのモチベーションを高め、さらに次へとチャレンジしようという思いが育ちます。
結果として、やり遂げている、という状態なのかもしれません。
③目的
目的意識が大事といいます。
具体的には、今の努力の先にある物が何か、という事がとても大事です。
小さな目標の積み重ねた先に、大きな目的がある。
その目的に想いを馳せることで、人はやり抜く力を手にすることができます。
たとえば、ある青年はマイカーを買うために必死に働きました。
彼の最終的な目的は、かわいい彼女をゲットすること。
その目的のために、節約し、たくさん働き、お金をためるという小さな目標をクリアする。
そうやって大きな目標(目的)に向かうことが、やり抜く力を育むことになります。
④希望
何かを続ける際には、どうしても障害が出ることがあります。
しかし、そこでいちいち悲観していては、前に進むことはできません。
大事なのは、楽観的であること。
なんとかなるさ、という思いをもって、出来ることを一生懸命やる。
そんな心持が大事なのです。
やり抜く力を育てる方法 興味を結びつける
目標の先にあるもの
GRIT(やり抜く力)を発揮するに際して、目標設定は重要と言われます。
それは自分の興味と現実を結び付ける効果があります。
その中で、特に大きな目標、言い換えると「目的」とつながる上手な目標設定が肝要です。
たとえば、会社を上場させたい経営者がいるとします。
上場した時の事を夢見るわけですが、いきなり上場することはできません。
そのためには、売上を上げたり、顧客を増やしたり、社内の内部管理体制、その他さまざまな準備が必要です。
売上や、内部管理体制といった、一つ一つの目標があり、それをクリアしていくことで大きな目標に向かう。
これが、GRIT(やり抜く力)を高める目標設定と言えるのではないでしょうか。
目標設定がGRIT(やり抜く力)を育てにくいケース
たとえば、大きな目標がなく、中程度の目標が乱立しているケースは現実に多いと思います。
この場合、個別の中程度の目標への思考に終始し、モチベーションにはつながりにくい。
一体何のためにやるのか、という疑問が強くなってくる可能性が高まります。
また、最高位の目標が複数あると、意識が集中しにくく、GRIT(やり抜く力)を育むことが難しくなるケースが出てきます。
やり抜く力を育てる方法 練習する
意図的な練習のための3つの流れ
認知心理学者アンダース・エリクソン氏によると、練習による上達にはそれが意図的である必要がある、と言っているようです。そのための3つの流れをまとめておきます。
①ある一点に的を絞ってストレッチ目標【高めの目標】を設定する
あえて自分が達成していない困難な目標を設定します。
②しっかりと集中して、努力を惜しまずに、ストレッチ目標の達成を目指す
ひとりで練習し、時に他人のフィードバックを求める。ネガティブなフィードバックに対しても、前向きに対処する
③改善すべき点がわかった後は、上手くできるまで何度でも繰り返し練習する
以前は出来なかった事が、すんなりと完璧にできるようになるまで、
出来ないと思っていたことが、考えなくてもできるようになるまで、
繰り返し練習する。
楽な練習はいくらやっても効果があまりない、という事を心に刻んでおくのがよさそうです。
やり抜く力を育てる方法 目的を見出す
快楽よりも目的
よく取り上げられるレンガ職人の話があります。
何をしているんですか?と聞かれた時、
1番目の職人は、「レンガを積んでるんだよ」。
2番目の職人は、「教会を造っているんだ」。
3番目の職人は、「歴史に残る大聖堂を造っているんだ」。
この場合、3番目の人がやり抜く力を発揮しやすいといいます。
役に立ちたいという思いと、興味が多きない力を生むということが言われています。
やり抜く力を育てる方法 希望
きっとうまくいく
何かに取り組んでいると、手ごたえがなくなる、成長を感じられない時期がおとずれます。
この時に、もうこれ以上は上手くいかない、という無力感にはまることがあります。
これを抜け出すには、楽観的であることが求められます。
「きっとうまくいく」
そんな風に信じられるといいですね。
「楽観主義者」か「悲観主義者」かがわかるテスト
次の質問に答えてください。
「次の状況を想像してください。人からやってほしいと頼まれた仕事がありますが、全部終わりそうにありません。では次に、その主な原因を一つ想像してください。どんな原因が頭に浮かびますか?」
これに対する答えが、自分で変えようがない事や、仕事の能力でなく様々な家愛を答える場合、その人は悲観主義者と言えます。例えば、「自分は何をやってもダメだから」「意気地なしだから」といった感じ。
一方、楽観主義者は、「どうにかできる」と問題をコントロールができる事という認識をする傾向があるようです。理由としては、「時間配分が上手くできなかったから」とか「気が散ってしまい、効率の良いやり方が出来なかったから」と改善の余地を残したものを上げるようです。
こういった楽天思考はやり抜く力と密接な関係がありそうです。
まとめ
GRIT(やり抜く力)を育てるコツ
GRIT(やり抜く力)を育てるポイントを以下のようにまとめてみました。
・興味の対象を目標にする
・大きな難しい目標を限定された分野で設定する
・繰り返し練習する
・楽観的に取り組む
と言ったことでやり抜く力を育てられます。
参考文献
『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』
アンジェラ・ダックワース (著)