人がその能力を余すことなく発揮するために必要なことって、どんなことでしょうか?
人は多くの場合、その能力を温存しようとする傾向があります。
その傾向を打ち破るためにできることは、一言で言うと「制約を課す」という事です。
自分の能力を引き出すための「目標」
価値ある目標を設定する
目標というのは、モチベーションの源泉です。
そのはずなのに、多くの場合、目標へのモチベーション維持はとても難しいイメージがあります。
それは、きっと目標そのものの設定に間違いがある可能性があります。
その目標があなたにとって、「価値ある目標」であるならば、モチベーションは自然と湧き上がります。
にもかかわらず、自分が価値を感じにくい目標を設定して、「とにかくモチベーションを上げなければ!」と、モチベーション開発方法を求めさまよう人、けっこう多いと思います。
けど、お腹がすいたら、何としてでも食事にありつこうと頑張ります。
「お腹が空いたけど、モチベーションが湧かない」なんて話あまり聞きません。
それは、食事するという目標が、あなたにとって価値があるからです。
まずはじめに、目標を見直してみましょう。
その目標はあなたにとって価値を感じるものでしょうか?
どんなメリットがある、あるいは、どうしても避けたい苦痛から逃れられる目標でしょうか?
そんな目標設定ができれば、モチベーションは無理して上げなくとも、行動が始まります。
目標は大きい方がいい?目標は達成可能なものがいい?
では、目標は大きな方がいいのでしょうか?ほどほどが良いのでしょうか?
実は、両方必要、というのが私の現時点の結論です。
ある研究によると、2倍の成果より、10倍の成果を求めるほうがパフォーマンスは高くなると言います。
目標が高いから当たり前じゃないか、とおっしゃるかもしれません。
しかしそれだけではなく、10倍の目標だと、やり方を根本的に見直すからです。
そして、本当に10倍が可能かどうかの可能性を真剣に検討し始めます。
今までの自分の成長速度が、自分にとっての成長の限界なら、10倍目標なんて夢のまた夢です。
けど実際は、自分の成長速度って、これまでの成長が限界値ではないことも多いのです。
2倍の目標なら、2倍レベルの成長が限界ですが、10倍目標なら8倍かも知れないし、5倍かも知れない成長速度を引き出せるかもしれません。
自分の能力を余すところなく引き出すには、目標は高くて、夢のある物が良いと言われています。
チームでも同様で、Googleは10X目標という10倍目標を掲げると言いますし、起業家筋では、BHAGと言われる、ありえないほど大きな目標を掲げるべき、と言われています。
ただ、目標があまりに遠いと、人はそこへの意識を維持し続けることは難しいと言います。
だから、小さな目標も設定して、一つ一つハードルをクリアしていくことで、自身の進歩を確認できることが大事、と言われています。

目標とセットで必要な「期限」
ある作業を時間で区切ってみる
少し試していただきたいことがあります。
毎日、あるいは毎週、毎月行われるようないつもほぼ同じ作業やタスクがあるとします。
それを今回は、時間の締め切りを決めてやってみて下さい。
家事で言えば、食器を洗うのを5分以内でやるようチャレンジしてみるとか、
仕事だったら毎月の締めの業務を30分以内でやってみるとか。
きちんとタイマーをかけてやってみます。
もちろん、慌ててやる必要はありません。
できる範囲で、短時間で仕上げることが目標です。
これ、やってみるとわかるんですが、ただのんべんだらりとやる時と比べると、メチャクチャ集中力が高まります。この状態を「フロー状態」を言います。
物ごとについて、時間の制約を設けると、人の集中力は高まり、いつも以上の力を発揮できる可能性が出てきます。
中長期の目標にも期限が必要
ここからわかる通り、締め切りの設定は人のパフォーマンスを上げてくれます。
中長期の目標にも、やはり期限があったほうがいい。
たとえば、生きているあいだにこれはやっておきたいなー、というぼや―ッとした将来の夢も、一度期限を切ってみましょう。
40歳代までにはやるとか、今年中にはその準備を始めるとか。
あくまで自分との約束ではありますが、これを人に宣言すると「宣言効果」というものが働きます。
人は、自分が口にしたことと、現実を一致させたいという欲求がありますので、言った以上はやらないと、という風に気持ちが動きやすくなります。
ただし目標や期限の奴隷にはならない
目標や期限はあなたが幸せに生きるためのもの
自分で決めた目標や期限はやり切る。
そんな覚悟は素晴らしいものですが、そこに振り回されるのもいかがなものかと思います。
期限や目標を守るために、今の幸せや大事なものが失われたり、健康を害していては本末転倒です。
目標や期限は、あなたの人生のために定めるべきものです。
決してその奴隷にはならに容器をつけてください。
時間の経過とともに、情勢は変わるし、そもそもあなたの生き方も変わることでしょう。
目標の優先順位も変われば、目標が意味を失うこともあるでしょう。
そんな時は、遠慮せず目標や期限を見直せばいいのです。
敗北と後退は別物です。
・目標は自分にとって価値があることが大事
・大きな目標を立て、小さなステップとしての小さな目標を立てる
・時間を区切るとフロー状態が訪れやすい(集中力が高まる)
・目標設定には期限をセットで定める
・ただし、目標と期限の奴隷にはならないように気をつけよう