目標設定と聞いて、どんな印象を持たれるでしょうか?
営業で苦しまれた経験のある方は、「ノルマ」という言葉と絡み合って、ちょっと苦い感情が湧きあがるかもしれません。
一方、人によっては、行先である目標が明確でなければ、力が湧かないという人もいると思います。

同じ「目標設定」という言葉、1つの意味でとらえるのは危険なのかもしれません。
今回は、目標設定における様々な捉え方、目標設定を人生に活かす方法などについて考えてみたいと思います。

目標設定の〇と×

目標設定のメリット5選

まずは、目標設定のメリットを見ていきます。
一般的に言われるのは以下の5つ。

  1. モチベーションを維持することができる
  2. 達成感を感じることができる
  3. やるべきことが明確になる
  4. 思考が前向きになる
  5. 将来について明確になる

一つ一つ見てまいりましょう。

目標設定のメリット① モチベーションを維持することができる

目標設定は、自分で行うことで、能動的に取り組む意欲が高まります。
ゴールへの達成感を期待するため、途中でトラブルが発生しても、モチベーションを保ち続けることができます。

目標設定のメリット② 達成感を感じることができる

自分で設定した目標を達成し、乗り越えることで達成感を得られます。
実現したことから、自信を得ることができます。

目標設定のメリット③ やるべきことが明確になる

目標を設定することで、自らの進む道筋が明確になります。
具体的な道筋が定まるため、無駄のない行動が可能になります。

目標設定のメリット④ 思考が前向きになる

目標に向かって試行錯誤する過程で、新たなスキルや知識を得ることができます。
自分の力で目標に近づくことで、自信を持てます。

目標設定のメリット⑤ 将来について明確になる

目標設定は、方向性を定める手段です。

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Mohamed HassanによるPixabayからの画像

目標設定のデメリット6選

一般的には、目標設定はとても大事と言われます。
しかし、実は目標設定には、副作用もあります。

こちらも少し深堀してみましょう。

目標設定のデメリット① 視野が狭くなること

目標に集中しすぎると、他の重要なことを見落とす可能性があります。
長期的な視点を失い、短期的な目標に固執することがあります。

目標設定のデメリット② やる気がなくなること

達成できない目標を設定すると、従業員のモチベーションが低下する可能性があります。
達成感を得られない場合、やる気が減退することがあります。

目標設定のデメリット③ 長期的な利益を損なうこと

短期的な目標に焦点を当てることで、長期的なビジョンを見失うことがあります。
長期的な成果を犠牲にして、即時の目標を達成することがあります。

目標設定のデメリット④ 失敗の可能性が高くなること

高い目標を設定すると、失敗するリスクも高まります。
失敗を恐れて新たな挑戦を避けることがあるかもしれません。

目標設定のデメリット⑤ 倫理観を損なうこと

目標達成のために不適切な手段を選択することがあるかもしれません。
倫理的な観点を無視して目標を追求することは問題です。

目標設定のデメリット⑥ 学習心を損なうこと

目標に固執しすぎると、柔軟性が失われ、新たな学びの機会を逃すことがあります。

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Vilius KukanauskasによるPixabayからの画像

目標設定のメリットデメリットが社会にもたらしていること

営業やプロジェクトで威力を発揮する目標設定の力

目標設定は、特に営業の世界では古くから活用されています。
いつまでに、どれだけの金額の販売を完了する、といった目標は今も普通に使われます。
数値化した目標は、出来た、出来なかったかが明確で、あいまいさがありません。
それゆえ、人をモチベートしたり、管理を容易にしたり、というメリットがあります。

また、勉強などにおいても、到達度を知ることで、頑張れる部分もあるでしょう。

目標に固執するあまり起こる問題

一方で、問題も起こります。
例えば、営業目標達成のために不正が行われたり、顧客本位の営業ではなく、会社本位の営業スタイルで問題を起こす場合もあるでしょう。
また、社内の競争による雰囲気の悪化や、倫理的によくない営業が行われることもあります。
実際にたとえば、「契約するまで帰らない」と玄関に居座った銀行の営業マンの話などはよく耳にするところです。
プロジェクト管理や、建築監理においては、目標完整備に縛られるため、突貫工事的作業で仕上がりの状態が良くない形で納品するといったことが散見されました。

こういったことを考えると、目標設定というのは副作用の強い劇薬と言えるかもしれません。

目標設定の仕方

SMARTの原則

目標設定のやり方で、もっとも有名なものの一つがSMARTの原則と呼ばれるものでしょう。
以下の頭文字をとったものです。

  • Specific:具体的
  • Measurable:計測可能
  • Agreed upon:同意して
  • Realistic:達成可能な
  • Time-bound:期限が明確

資料によっては、英単語が少し違うものが充てられている場合もありますが、基本的な意味は同じと思います。

具体的に定めることにより、どこを目指すかが明確になり、
計測可能であるから、達成度が明確で、達成の可否がはっきりと示され、
同意できているという事で、主体性が芽生え、
達成可能であることで、現実味を帯びて、
期限が明確であることで、タイムプレッシャー効果が期待できる、
といったところがその効能と言えるでしょう。

SMARTの原則の最大の仕組みは、ゴールを明確にイメージ出来て、出来そうな気がする、という思いを引き出し、モチベーションにつなげようとする考え方でしょう。
コツとしては、楽々できる目標というより、少し頑張らないと達成できないレベルに設定することで、フロー状態(時間感覚を失うくらい集中し、最大のパフォーマンスを発揮できるという状態)になる可能性が高まるようです。

10X(テンエックス)

最近注目を浴びているのが、10X目標と呼ばれるもの。
これはGoogleが社員に求めている思考法で、簡単に言えば、

現実的に考えた目標にゼロを一つ足す

というもの。
つまり、真面目に考えた目標を10倍にするという事。

この方法の効果の一つは、ワクワクするという事。
現実的な、「対前年比10%」などといういかにも仕事っぽいものではなく、夢と風呂敷を大きく広げる目標に浸るのが目的の一つ。
気持ちがワクワクするから、思考はポジティブになり、遊びモードで脳が活性化し始めます。

さらに、10%アップであれば「今の方法でもっと努力する」という事で達成可能ですが、ケタを変えることで「違うアプローチ」が必要になります。
そういったことから、イノベーションを起こす思考になって行くのです。

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目標設定をどのシーンで行うのか?

目標設定は人生のバランスを崩すリスクがある

目標設定といえば、ビジネスシーン、あるいは自身の成長とかかわる分野で検討されるケースが多いでしょう。
仕事の業績、収入、体重やトレーニング、テストの成績や、ゴルフやテニスのスコアなど。
しかし、気をつけなければいけないのは、目標設定が特定の分野に偏ると、人生のほかの部分がおろそかになり、バランスを欠いてしまうケースが散見されます。

たとえば、ビジネスの成功を夢見たが、家庭が崩壊してしまった。
社会的地位が高まったが、健康を壊してしまった。
ゴルフが上手になったけど、会社での信用を失ってしまった・・・など。

多くの成功哲学においては、ある一分野だけの目標設定を印象付けがちです。
しかし、人生は様々な分野で出来ています。

人生の6分野における目標設定

目標設定の方法論は様々かと思います。ただ、大事なのは人生におけるバランス。
そこで私どもが提案したいのは、以下の6分野における目標設定です。

 ◆経済と職業面  ◆家庭と家族面  ◆教養と教育面

 ◆健康と身体面  ◆社会と文化面  ◆精神と倫理面

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