誰もが、幸せな人生を送りたい、と考えていると思います。
では、幸せって、一体どうすれば手に入るのでしょうか?
多くの人がまず思いつくのは、
足りないものを満たそう
という事。
そこで目に付く「もっとお金があれば・・・」という思いに向かいます。
しかし、いざお金持ちになったからと言って、必ずしも幸せになれるとは限りません。
ではどうすれば良いのでしょうか?
大事なのは、バランスなのです。
お金を稼いでも幸せになれなかった社長
あるやり手社長の老後生活
私は保険の仕事をしていました。そこで出会ったある社長は当時50歳。
バリバリのやり手で、30名ほどの社員を雇う工場を運営していました。
いつも忙しそうで、ビジネスも好調だったようです。
そこから時は流れ、75歳のときに会社を売却。
いわゆる老後生活に入りました。
しかしほどなく奥様を亡くし、一人暮らし。
その時の状況が衝撃でした。
足が弱っているので、買い物をするにも車で行っていたのです。
しかし、さすがに高齢なので、息子がやってきて車のバッテリーを外してしまい、エンジンがかからないようにしてしまいました。
つまり、その社長はずっと家の中。
リビングに座り、一日中テレビを見て、食事は栄養ドリンク。
お金はあるのだから、施設に入ればいいのに、それは固辞。
若いころ、あんなところに入るやつは格好悪い、とさんざんクサしたので、プライドが許さないそうです。
けっか、そんな状態で孤独死をされたそうな。
人間は生きてきたようにしか死ねない
その社長、一言で表すと「頑固」です。
そもそもやり手社長というのはだいたい頑固。そして、頑固さの裏には、「自分が正しい」という考え方がります。
結果として、人の話を聞かないんですね。
誰に何を言われても、自分が正しい、と。
そうすると、社員さんとの関係も硬直化します。
指示され、受けるという一方通行の関係。ここに人としての絆は生まれにくい。
そして家族との関係も同じような形になります。
子供は、自分の話を聞かない親と距離をとります。特に成人し、家を出たらなおさらですね。
配偶者だって、いつまでも自分の話を聞かない人と一緒に居たくない。
これが熟年離婚なんて話に繋がってきます。
周囲の人間を排除した結果、自分が最後は排除され、寂しい最期を迎えるのです。
「仕事が一番」という幸せにおける誤解
お金という強力なツールの影響力
私たちが生きる中で、「お金」は不可欠です。
お金が無くなると、生きていけなくなる、という恐怖心も背後にあります。
また、他人と自分を比べる中で、多くの事をお金と結びつけて考えがちです。
いい家、いい車、いい時計やアクセサリー、いい服。
これらはお金という暗示が埋め込まれていて、それを求めたくなるようプログラムされているかのようにお金を求め、そして働きます。
かつて、まだ専業主婦が多かった時代は、日本でも外で働く亭主が偉く、家を守る妻は少し格が低い印象があったかと思います。
お金と、そこに紐づく仕事は、とても重要なものという印象が強く刻み込まれているのです。
本来はお金だけでは幸せになれない
冷静に考えれば明らかですが、お金は大事ですが、それその物はただの紙切れです。
お金を使って、商品やサービスを得たときに初めて価値が出ます。
そこに幻想を抱き続けるプログラムからは、この機会に抜け出したいものです。
ぎゃくに、いくらお金があっても、健康を損なえば幸せは遠のきます。
そして、人とつながることが出来なければ、冒頭の社長のように寂しい人生を送ることになります。
近年、日本でも「幸福学」という学問が広がり始めています。
その背景には、そこそこ豊かになった日本で、相変わらず幸福感を感じられないことに、多くの人が疑問を持ち始めたのかもしれません。
幸福な人生を構成する6分野
50年以上も前に、ポール・J・マイヤーという人が、「トータル・パースン」という考え方を打ち出しました。
それは、幸せな人生を送るには、お金といった一つの分野だけに特化するだけでは足りない、という考え方です。
氏は、人生を彩る以下の6分野をバランスよく満たしていくことが大事だと主張します。
健康面、家庭面、社会生活面、精神面、教養面、経済面
たとえば、健康や家庭面、精神面が崩れると、仕事のパフォーマンスは下がります。
教養をつける努力をしなければ、社会での活躍は難しくなる。
実はこれらの事は、すべて繋がっているのです。
Jill WellingtonによるPixabayからの画像
幸福な人生のための6分野
①健康面
まず一番大事なのが健康。
健康を損なうと、どんなに他が満たされても、十分人生を楽しむことは難しくなります。
しっかりと身体が動き、十分な睡眠がとれて、ご飯がおいしく食べられる。
人の三大欲求は、健康と密接なかかわりがあります。
人生を考える中で、健康についてしっかり留意することは欠かすことはできません。
②家庭面
仕事以外で最も長い時間を過ごすのが、家庭です。
人の活動のベースとなる家庭が上手くいっていないと、ずっと頭の中にそのことが去来します。
特に夫婦のきずながしっかり結ばれていると、何があっても対応することができるはずです。
③社会生活面
近所付き合いや、会社での付き合いなど、私たち人間は社会的な生き物です。
そういったところとの繋がりは、人の幸福感に大きく影響を及ぼします。
友人と良い関係を結ぶために、時間や手間をとることは大事なことです。
④精神面
どんなに物理的に幸せな状態を揃えても、心の状態が良くなければ、それらもダークな現実にしか映らないかもしれません。
心を明るく保ち、気持ちの良い日々を過ごすための工夫を考えていきましょう。
⑤教養面
学校を卒業したら学びは終わりというわけではありません。社会の中で人は、一生何かを学び続ける必要があります。
そして、好奇心は人を若々しく保ち、健康にも良い影響を及ぼします。
好奇心を失わず、その思いを引き出す行動を意識したいものです。
⑥経済面
お金に関する部分は説明は不要ですね。
幸せの構成要素
物理的なものだけでは満たされない
なぜかひとは、物理的に豊かなことが幸せに直結している、と誤解しやすいようです。
よく考えれば、愛のない世界でお金だけを持っていても、あまり価値がないはずなのに、色んなものを犠牲にしてお金を求めがち。
お金という必要不可欠なものから目を逸らすことはお勧めしませんが、幸せは様々な要素が絡み合ったときに実現される感情です。
私たちは多くの場合、心に空いた穴を埋めることで幸せがおとずれると考えがちです。
しかし、実際はその穴は物理的に埋めることはできません。
大事なのは、欠乏を満たすというより、好きなものを素直に求める心ではないかと思うのです。
そして好きなものは、前述の6分野の中に組み込まれている、と私は考えています。
収入や仕事の目標を立てるとき、ぜひ他の6分野についても目標と計画を立ててみて下さい。
きっと、人生が見違えるようにキラキラしてきますよ。