変わりたい。
新しい習慣を取り入れたい。
違う自分と出会いたい。

多くの人は、自分に何かしらの変化を求めます。
しかし、それが上手くいくことは稀です。
そんな中、「いつ変化を始めればいいのか?」という事への手がかりとして、フレッシュスタート効果について学んでみましょう。

「ラベル」が変わると「行動」も変わる

心を新たにする「新年」の効果

誰もが、新年の誓いをしたことがあるのではないでしょうか。
今年こそはダイエットを成功させるぞ、
今年こそは宿題をしっかりやるぞ、
今年こそは仕事で成果を上げるぞ。

ある調査では、アメリカ人の約40%が毎年1月1日に、運動する、老後のたくわえを増やす、禁酒する、外国語を習うなどの生活改善の誓いを立てる、という事がわかっているらしい。

これは、過去と未来に線を引くことで、「(過去に起こした)別人の失敗」として過去の悪習を片付けることができ、新しい自分は別人である、という心理効果があるようです。

これを『自分を変える方法──いやでも体が動いてしまうとてつもなく強力な行動科学』の著者、ケイティ・ミルクマン教授は「フレッシュスタート効果」と名付けました。

フレッシュスタート効果を生む「日取り」

このようなフレッシュスター効果を生むのは、なにも1月1日だけではありません。
新学期の始まり、役割の変化した日、自分の誕生日、月曜日、などいろんな日が活用可能です。
実はそれだけでなく、勝手に決めた「禁煙を始める日」でも効果があるとのこと。

今日は単なる8月5日ではなく、8月5日はダイエットスタート記念日にしてしまえば、フレッシュスタート効果の後押しを得られるのです。
あなたは今日を、何の記念日にしますか?

区切りに行う自己変容は成功率が高まる

自分を変える方法──いやでも体が動いてしまうとてつもなく強力な行動科学』で紹介されているある研究では、人生に変化を及ぼそうと行動した人について調査を行っています。
自己変容を意図した行動変化おいて、成功した人の36%が引っ越し後に取り組んだ人たちで、失敗した人のうち引っ越し後に取り組んでいた人は13%に過ぎなかったといいます。

大前研一氏の有名な言葉に、こんなものがあります。

1番目は時間配分を変える。
2番目は住む場所を変える。
3番目はつきあう人を変える。

まさにこの2番目を証明している調査と言えそうです。
これも、物理的移動により、過去の自分を別人とする効果がありそうです。
フレッシュスタート効果を生むのは、カレンダーだけではないようです。

残念ながら成功率は20%

フレッシュスタート効果は完ぺきではない!?

このフレッシュスタート効果を使っても完ぺきとはいいがたい現実があります。
先のアメリカ人の1月1日の誓いですが、1/3が1月末までに挫折するといいます。
たった一カ月で3割が脱落です。

最終的には、5人に4人が失敗するといいます。

しかし、逆に言うと20%は成功しているわけです。
やってみようと思った人のうち、一部の人はそれを成し遂げています。
「誓い」は何度やったってOK。
始めなければ結果は得られません。

まずはやってみる、という事が大事なのではないでしょうか。

再度挑戦する機会を

挑戦は何度やってもOK。
そこで始める日に名前を付ける、という方法もあります。
たとえば、「生まれ変わり記念日」とかで好きな日取りに名前を付けるわけです。
とにかく初日感を出すことで、自らを鼓舞する。
失敗の積み重ねの先に、成功があるのではないでしょうか。

参考文献

自分を変える方法──いやでも体が動いてしまうとてつもなく強力な行動科学』ケイティ・ミルクマン

ポイント整理

・新年などのカレンダー的区切りに新しい事を始めると成功しやすい
・立場の変化、環境の変化が起こった時も、新しい事を始めるのに良い
・引っ越しのタイミングも新しいスタートに最適
・ただし、これらの効果は限定的で必ず良い結果を生むとは限らない
・とはいえ、一定数が成功している事実に着目すると、タイミングを狙って行動することが大事。