皆さんは、新しい事を学ぶときは、
順序だてて、単元ごとに学びますか?
それとも、あっちを学んではこっちを学び、と脈絡なくいろんな知識を取り込みますか?

実は、学び方の自分の感覚と、実際の学習効果は、けっこう乖離があるそうなんです。

2つの学び方を比較する

「ブロック学習」と「交互学習」

ブロック学習と交互学習。
恐らく、この言葉を聞いたことがある人はそんなに多くはないと思います。
ただ、ある研究機関では、この二つの学び方についての研究結果があります。
この内容がびっくりなので、共有させていただきたいと思います。

ブロック学習について

ブロック学習とは?

ブロック学習というのは、イメージは学校の教科書での学びです。
歴史で言えば、平安時代を一塊で学習し、終わったら鎌倉時代、というふうに、学びをいくつかのブロックに分けて、一つずつクリアしていく方法。

私の感覚で言えば、世の中の教科書、教則本、説明書、マニュアルなどは、ほとんどこの形をとっていると思われます。つまり、意識して学ぶときは、ほとんどの場合このブロック学習を使っているといえるでしょう。

ブロック学習のメリット

ブロック学習の最大のメリットは、順序だてて学ぶため、「わかった」という実感があること。
学んでいる中で、いつまでもわからないと、学習意欲もそがれてしまいます。
しかし、「あ、わかった!」と思えると、より学びを深めるモチベーションに繋がりやすいと思われます。

ブロック学習のデメリット

ブロック学習のメリットの裏返しにデメリットもあります。
というのも、「わかった!」という感覚を得ることで、脳の学習モードは終了してしまうという事です。そのジャンルに関するデータ収集をそれ以上しないため、その時点で学び終わりという状態になってしまいます。

Kim HeimbuchによるPixabayからの画像

交互学習について

交互学習とは?

交互学習とは、さきのブロック学習とは対照的に、学ぶ対象をランダムに変化させることです。
例えば、ブロック学習が一冊の本を最初から最後まで順を追って読むこととたとえるなら、交互学習は10冊の本を同時に少しずつ進めるイメージ。

英単語の勉強をしていたら、ずっとそれを続けるというより、30分やったら数学に切り替えまた30分で英単語に戻ってくるようなプログラムの組方です。

交互学習のメリット

交互学習では、「わかった」という実感は少ないようです。
わかったような、わからないような感覚があるようなのです。
ただ、この事は、脳が空白を認識しているという事。
恐らく、よくわかっていないからもっと情報を求めて、活動的になっているのではないでしょうか。
ブロック学習と比べると、交互学習の方が学習効果が高いといわれています。

交互学習のデメリット

交互学習のデメリットは、先ほど書いたとおり、「わかった」という感覚が希薄であること。
実際のところは、答えられることも、わかったという実感がなければ不安ではあります。
ついつい安心を求めて、ブロック学習に流れていくケースが多いのではないでしょうか。

deloによるPixabayからの画像

「わからない」という事を恐れない

「わからない」ことは悪い事ではない

ここまで見た内容から考えると、「わからない」ことは悪い事ではないようです。
私たちは「わかること」に必死になりがちですが、「わからない」ことを「わからない」まま許すという事も時には必要なのかもしれません。

「わからない」というのは、脳に対する問いです。
その問いを、問い続けているあいだは自然と学習が進んでいるのではないでしょうか。

本にたとえてみると…

ブロック学習と交互学習。
この関係を、本の読み方に当てはめてみると、とても分かりやすいと思います。
ブロック学習は、前にも書いたとおり、前から順番に読んでいく本の読み方。
交互学習は、あちこち関心のあるところをつまみ読みする本の読み方。
つまみ読みすると、その隙間を補完したくて、ついつい没頭することも間々あります。

すべてをしっかりと理解しようとしなくてもいいのかもしれませんね。


ポイント整理

・ブロック学習と交互学習という学習スタイルがある
・ブロック学習は、物事を単元ごとに学ぶ方法
・交互学習は、様々な内容をランダムに学ぶ方法
・「わかった」という実感はブロック学習が得やすい
・実際の学習度合いは、交互学習の方が高い
・「わからない」ことは脳への問い